MARC PANTHER

Globe-Trotters Journal

No.81 昭和の美学から脱却せよ!山口香氏が明かす「スポーツの本当の価値」と日本の課題

自律神経専門整体GREEN

昭和の美学から脱却せよ!山口香氏が明かす「スポーツの本当の価値」と日本の課題
「スポーツ=厳しい練習に耐え、我慢と根性で勝利を掴み取るもの」

令和の時代を迎えた今も、私たちの頭の中にはどこかこうした固定観念が根付いていないでしょうか?

体罰禁止が叫ばれながらも、指導者による理不尽な暴言やパワハラが後を絶ちません。生徒や保護者、トップアスリートでさえも「指導者に逆らえない」構造が存在するのは、日本社会全体に「勝利至上主義」と「我慢の美学」が深く染み付いているからです。

今回は、山口香氏の提言をもとに、日本のスポーツ界と社会が抱える病理、そして本来あるべきスポーツの価値について紐解いていきます。

1. 1964年からアップデートされていない日本の「スポーツ観」
こうした日本の根深いスポーツ観は、1964年の東京オリンピック時代に形成されたものが大きく影響しています。半世紀以上が経過した今も、その価値観はほとんどアップデートされていません。

「勝つためにはあらゆることを犠牲にすべき」という考え方のもとでは、理不尽なしごきにも耐え抜く強さが美化されてきました。

しかし、これはスポーツ界だけの問題ではありません。スポーツの構造は、そのまま日本社会の構造と合致しています。

効率と生産性の最優先:弱い者や脱落した者を切り捨てる。

多様性の排除:「男性並みに働けない」「育児で休む」女性や、「効率的に働けない」障害者を軽視する。

日本社会は昭和から平成、令和へと元号が変わっても、本質的には昭和的な価値観から抜け出せていません。東京2020オリンピックは、まさにその歪みを浮き彫りにした出来事でした。

SDGsやLGBTQ、ダイバーシティ&インクルージョンといった横文字のスローガンが踊っても、自分のアイデンティティが否定されることを恐れるあまり、多くが「上べだけのポーズ」に留まっているのが現実です。

2. 勝利至上主義の罠と「メンタルケア」の誤解
「スポーツ界の常識は、世間の非常識」とよく言われます。勝利こそがすべてという教育観が、結果として未来ある子どもたちを潰してしまっています。

最近ではトップチームに「メンタルトレーナー」を配置するケースが増えていますが、ここにも課題があると山口氏は指摘します。

現状のサポートの多くは、「アスリートが100%の力を発揮して『勝つため』のメンタルケア」に偏りがちです。結局、勝利の道具として選手を機能させるためのメンタルトレーニングになっていないでしょうか。

本来必要なのは、競技団体やチームから完全に独立した「第三者」として寄り添える存在です。利害関係なく、一人の人間として悩みを相談できる「アスリートのかかりつけ医」のようなメンタルサポートの仕組み作りが急務となっています。

3. 海外の事例から学ぶ「大人の過熱を防ぐ仕組み」
では、海外ではどのようなスポーツ環境が整えられているのでしょうか。

① ジュニア世代の全国大会がない欧米
欧米の若年層では、日本ほど全国大会が盛り上がっていません。むしろ、ジュニアレベルの全国大会自体が存在しない国も多くあります。これは、熱くなりすぎる親や指導者から子どもを守り、過度な勝利至上主義に陥らないための「仕組み」です。

② 部活はなく民間クラブが主流のフランス
フランスには日本のような学校の部活動システムはありません。子どもたちは地域スポーツクラブに所属し、公共施設を無料または安価で利用できる環境が公的に整備されています。

さらに、フランスで大成功を収めている「柔道」の指導者はすべて国家資格を保持しています。試合の勝敗以上に重視されるのは、「先生の話を聞く」「感謝や謝罪ができる」といった教育的効果やしつけの面です。人を育てる厳しさは必要ですが、それは暴力を容認することとは全く異なります。

③ 自発性を引き出すイギリスの指導法
イギリスのスポーツ現場では、「やらされている」のではなく「好きでやっている」というシンプルな情熱がベースにあります。

指導者の役割は、選手を怒鳴りつけることではなく「いかに選手をやる気にさせるか」。適切な声かけを通じて、選手自らが考え、判断するように促す指導が徹底されています。

まとめ:スポーツの入口は「楽しいからやる」でいい
「自分自身が楽しいからやる」——スポーツの原点は、これだけで十分なのです。

理不尽な根性論や、子どもを潰す勝利至上主義から脱却すること。そして、一人ひとりの人生を豊かにするための「手段」としてスポーツを捉え直すこと。

我慢や耐え忍ぶことだけを強いる昭和的価値観を手放し、自発性と多様性を尊重するスポーツ環境を作ることこそが、これからの日本社会を明るく変えていく大きな鍵となります。

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