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毎度、落合商店です。
今週も落合商店独自の目線で街や物事を見る『OCHIEYE’S PRESS』をアップします。
何かを変えたい、現状を変えたいという方にはヒントになりそうな話し…かもしれない。
福岡市中央区大名というエリアは、飲食店や古着屋などが多く若者で賑わう街である。
そのエリアから外れた場所、福岡大学の近くに店舗を構える古着屋がある。
それが今回の取材先である『PUSH “ME” HARDER』。

車通りはあるものの、道路を挟んだ反対側は住宅地。
店前の通りもドラッグストアなどの生活用品を販売する店はあるが、古着屋は1軒のみである。
「まさかこんなところに古着屋が!!!」というような場所で周囲の環境に溶けこむように。しかし、しっかりと存在感を主張しつつ静かに佇んでいる。

店内はオーナーの谷井さんの世界観が作り上げた空間が心地よく、福岡大学近くの住宅街ということをつい忘れてしまいそう。

まるでお洒落な秘密基地のよう。
その店内には谷井さんがアメリカで1点1点ピックした古着やアクセサリーが並ぶ。
オーナーの谷井さん。

ただ者ではないオーラを発する。
ファッションスタイルや店舗を構える場所など、谷井さんのアイデンティティについて聞いてみた。
地元(大分県宇佐市)にいた10代の頃は、まわりの友達とともにスケーターファッションでスケボーをしていたそうだ。
ところが、ある年の大晦日前日に、ふと思い立って自身のスタイルをガラリと変えたのだそう。
大分市内へ出向き、古着屋へ。
これまでとは全く違う古着コーデで、初詣にいつもの友達グループの前に現れたという。
「その時の反応が面白かったんですよ。何それ?みたいな。
まぁいきなり昨日までとは全く違う格好で行ったら、誰だってびっくりはしますよね。」
かなりのインパクトを与えたのだろう。
今のようにインターネットもなく、ましてや洋服を売っているお店も少ない。
(私の地元も隣街なので、似たような状況である。)
情報が少ないからこそ皆と同じファッションスタイルをする中で、一気にスタイルを変える考えに踏み切ったきっかけとは…?
「当時は美容師になろうと漠然と思っていたんですよ。美容師のファッション的な面を考えて、パンク系とかいろいろ考えてたら古着に手を出した感覚です。
古着を着ていく中で、美容師じゃなくてもいっか。と思うようになり、古着の道へと傾いてきました。」
ある日突然自身のスタイルを一気に変えたことと、周囲の好反応が谷井さんにとって良い刺激になったのかもしれない。
いくら記憶に残りやすい年末年始の出来事とはいえ、そのきっかけを覚えているという事は本人にとってもインパクトのある経験だったはず。
同時に勇気も要ったのではないかとも思う。
個人的には特に最近は変化を求めている。
ファッション面でもそうだ。
ファッションが変われば思考や行動、表現も変わると思っているので今回の谷井さんの過去の経験は大きく参考になった。
変わらないことの大切さと変わり続けることの大切さということ。
そして、話しは店舗の場所について。
かつては店舗を大名に構えていたのだが、何故大名をはみ出してこの場所を選んだのだろうか。
「もう単純に賃料が全く違うんですよ。大名は人気エリアだけあって、やっぱり高い。
この場所だと安いし、広さに関しても。売り場スペースだけじゃなくて、ストックルームにも余裕が生まれてやりやすいですね。」
その移転に踏み切ったきっかけはコロナだったという。
殆どお客さんが来ない中で高い賃料を払い続けることに疑問を感じたのだそう。
あのコロナ期を経て日常に戻った今、薄れゆく記憶の「生き残る選択。」
変化をせずに耐え忍ぶか、変化して世の中の状況に対応するか。
もちろんどちらの選択肢を選んだとしても、生き残る者もいれば生き残れなかった者もいる。
その中で、大名という人気エリアを離れて移転という選択肢をとった谷井さんのお店は生き残った。この大胆は発想は、10代の頃に一気にスタイルを変えた判断があったはずである。
「皆、この場所を遠いって言うんですよ。でも何を基準に遠いっているのかなと思うんですよ。
大名、いわば中心地から遠いってことですよね。
でもこのエリアに住んでいる人も多くいるし、その人達にとっては近いんです。
あとはオンラインで毎回購入して頂ける県外のお客さんもいるし。
そんなお客さんたちにとっては、別に大名にあろうが今の場所にあろうが…関係ないですよね。」
なるほど。かなり大胆な発想の移転計画である。
それを成功できたのも谷井さん自身、そして谷井さんがセレクトする商品に固定客がしっかりとついているからだと思う。これまで大名で続けてきた実績があってのことだ。
谷井さんは笑いながら言った。
「物価高騰は、僕たち古着屋も今凄い大変なんですよね。アメリカまでの渡航費に滞在費。かなり大変な思いをして1点1点選んで仕入れてきています。
そんな思いの詰まったアイテムが、ここまで足を運んでくれるお客さんの生活を彩る一部になってくれたら嬉しいですね。」
このお洒落な秘密基地のような店内は谷井さんの世界観の他、大変な思いをして買い付けた1点1点のアイテムを陳列、ディスプレイするからこそ作りあげられているのだと思った。




何故今、個人的に強く変化を求めてるのか…。
ただ単に「飽きた」というシンプルな理由もありつつも、この言葉も大いに関係している。

個人的に私も来年大きな変化を迎える。
これまでの経験、自由を一旦置いて。
レベルアップするための前向きな決断ではあるが、やはり多少の不安もある。
別にこのままでも自由で楽しいし良いのだが、変わる、変える時がきたのだなと。
そんな中で谷井さんの話しは大きな感銘を受けた。
過去に執着せずに、変化を恐れない。
まさに谷井さんのことだなと思い、この様な思考は古着屋経営に限らずとも様々なことで必要ではないかと考える。
PUSH “ME” HARDER
https://www.instagram.com/pushmeharder.ytclothing/
大分県下最大級の総合情報サイト 『大分ドリップ 落合商店の週末』
https://www.oitadrip.jp/dripper/ochiai_shouten/
OCHIEYE’S PRESS BACK NUMBER
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No.20 聞きたくないけど知っておきたいこと。誰もが嫌なあの害虫対策を始めよう。
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No.28 真夏の夜の夢のおぼろげな記憶…(古着祭りを終えて)
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