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寒くなってきましたね! 世の中の万物、冷たいものは固まり、温かいものは柔らかくなります。
湯船につかる私たち日本の文化は素晴らしいと思います。そんな温浴、温泉の効用を、東洋医学(陰陽五行・気血水・経絡)+現代健康科学の両面からまとめてみました。
⚠️疾患があり主治医から入浴を制限されている方は指示を守ってください。また、本文は東洋医学的観点からの内容であり、医学的根拠を謳うものではありません。

☘️温泉の十德🍀
♨️1. 気血をめぐらす
病は、心身の“つまり”で起こります。
東洋医学の世界では
“気”めぐり。気持ちのモヤモヤ。気持ちがすっきりしない。
“血めぐり” 血めぐりが悪い。血液ドロドロ。
の改善が重要と考えます。
温泉は、気血を巡らせ、冷えを改善します。
体の表面の陽気を高め、気血の巡りを促進します。
→ 冷え症、末端の血行不良、肩こり、腰痛の改善に役立つ。
*東洋医学では「温める=陽気を補う」が基本の考え方です。

⚠️急激に温めたり血めぐりを良くすると良くない状態の人もいます。お酒に酔っているときもです。主治医の指示に従いましょう。
♨️2. 腎陽の強化
生命力あふれる赤ちゃんはあったかく
生命力の衰えた老人は冷えていきます。
あたためる力は、生命力の力です。
温泉は、体を芯から温め、腎を補います。(腎陽)
腎陽とは生命力のうちのあたためる力のこと
→「腎陽」を補うことは、生命力・基礎代謝・ホルモンバランスの維持に役立ちます。
特に硫黄泉・塩化物泉・炭酸水素塩泉は保温効果が強いとされています。

⚠️腎陽だけではなく、体を潤す、腎陰が必要な状態の方もいます。専門家に相談をしてバランスをとりましょう。
♨️3. 自律神経の陰陽調整
世の中はすべて陰と陽がバランスをとっています。
私たちの神経にも
陽:交感神経と
陰:副交感神経
のバランスがあります。
情報過多で頭が忙しい現代人は
頑張りすぎの交感神経に偏りがちです。
忙しい人はなぜ温泉を求めるのでしょう?
多忙でリッチな人がなぜ温泉別荘を求めるのでしょう?
それは
温泉には、自律神経を整える効果があるからです。(交感 → 副交感へ)
ゆっくりとした入浴は呼吸が深くなり、副交感神経が優位に。
→ 不眠、ストレス、イライラ、緊張型頭痛にも効果が期待できます。

⚠️筆者は、忙しいことが悪いと思っていません。過労っていうのも他人の価値観だと思っています。自分の価値観とミッションに向かって寝食を忘れるくらい行動する人は素晴らしいと思っています。そんな人のためにもリトリートで温泉はとても良いものだと思います。
♨️4. “水毒” を流す
水は私たちの命を支えてくれる大切なものです。
でも、東洋医学では“過ぎたるは及ばざるが如し”です。
命の水も、必要以上に体に滞れば悪いもの“水毒(すいどく)”になると
東洋医学では考えます。
温泉は、“水毒” を流し、むくみを解消してくれます。
水毒は、むくみ・頭の重さ・めまいの原因と考えます。
そもそも
運動をして汗をかくことは気持ちいいですよね。
これは、余分な水毒が抜けて、すかっとするからなんです。
温泉は、発汗が促され、余分な水分を排出します。
→ 体が軽くなる・脚のむくみが減ります。

⚠️疾患があり、過度の水分摂取を余儀なくされている方は主治医の指示に従ってください。必要な水分は、その人の水分代謝能力によって千差万別です。
♨️5. 血流促進による鎮痛
なぜ、腰や膝が痛いおじいちゃん、おばあちゃんは
温泉が好きなのでしょう?
それは、悪かった血行が良くなるから
そもそも、慢性の痛みは血行が悪いことで悪化しています。
温泉は、血流促進による痛みの軽減(鎮痛効果)に役立ちます。
温熱+水圧+浮力のトリプル効果
→ 関節痛、筋肉痛、神経痛などの緩和に。
炭酸泉なら特に末梢血流が大幅に改善すると言われています。

⚠️痛みを起こす疾患の原因によっては、急性期の炎症で温めると良くない状態の場合もあります。主治医の指示に従ってください。
♨️6. 肺を潤し美肌
東洋医学では免疫を司る“肺”が美肌に関わっていると考えます。
温泉は肌の代謝を整え、“湯治” 的な美肌効果をもたらします。
→ アトピー・乾燥肌・ニキビに良いケースも。
東洋医学では「肺(免疫や皮膚を司る)」を潤す作用と捉えられます。
ちなみに
硫黄泉:角質軟化・皮脂バランス調整
炭酸水素塩泉:皮膚を柔らかくして「美人の湯」
弱酸性泉:肌の常在菌バランスの安定
に良いとされています。

⚠️長年ステロイドを多用してきた方や、化学薬品で抑える治療を続けている方は、温泉で温まることで皮膚からのデトックスが増す場合もあります。自分の状態に合わせてセレクトしましょう。
♨️7.心肺機能の向上
湯船にあって、シャワーにないもの‥
それは“水圧”の恩恵です。
水圧こそが、温泉の効用だという視点も注目されています。
温泉は心肺機能・代謝の向上をもたらします。
温浴により血流量が増え、心拍出量が増加。
→ 新陳代謝が上がり、疲労回復が早くなる。
軽い運動に近い負荷となり、健康的な「代謝のトレーニング」になります。

⚠️疾患をお持ちの方で、心肺に負担をかけると良くない状態の方もいます。そのような方は主治医の指示を優先してくださいね。
♨️8. 浮力によるリハビリ効果
地球に生きる私たちはみんな“重力”を頂いています。
その重力から解放される休息の手段が
横になる 寝ること
そして
水に入る。入浴です。
温泉は浮力による関節負担の軽減‥リハビリ効果の恩恵を受けます。
水中では体重が1/9になるとされてます。
→ 膝痛、股関節痛、腰痛の人の運動療法に理想的。
東洋医学的には「腎が骨を司る」ため、腎を補う温泉との相性が良いと考えます。
温泉旅行のことを“骨やすめ”と表現するのはここから来ているのかもしれません。

⚠️身体的に水の浮力が危険を及ぼす状態の方もいらっしゃいます。主治医の指示の範囲を守ることが大切です。
♨️9. 老廃物をデトックス
栄養過多の現代人にとって
何かを補うよりも
不要なものを手放すことが大切な方も多いと思います。
温泉は、デトックス:発汗・代謝で老廃物を排出する恩恵があります。
温泉の温熱効果で普段よりも発汗する。
→ 乳酸などの疲労物質、皮膚表面の汚れ、老廃物の排出促進。
遠赤外線作用のある泉質ならさらに代謝が上がります。

⚠️心身の状態によっては、大量の発汗で元気を失う人もいます。東洋医学では気虚のタイプ。そんな方は主治医や専門家の指示に従い、サウナなどで無理をしないようにしましょう。
♨️10. 心身を安んじる
東洋医学の世界では
“心身一如(しんしんいちにょ)”
という教えがあります。
心は体に影響し
体は心に影響する
運動して温まって気持ちいい汗をかいたら
心もすっきりした
など、みなさま経験がありますよね。
運動が苦手な方でも
温まり心地よい汗をかくことができます。
それが“温泉”です。
温泉は、精神安定・ストレス解消(心身一如の回復)の恩恵をもたらします。
入浴中は“こころ”がゆるむ時間。
瞑想効果や呼吸の安定により、精神の「心火」を鎮める。
→ 不安、緊張、不眠に良い。
東洋医学では「心神を安んじる(安神)」効果と考えます。

まとめ:温泉の十德
一、気血の巡り改善・冷え解消
二、腎陽を補い生命力UP
三、自律神経を整える
四、水毒を流しむくみ解消
五、痛みの緩和(筋肉・関節・神経)
六、肌代謝UP・美肌
七、代謝・心肺機能の向上
八、浮力による関節負担の軽減
九、発汗+代謝UPによるデトックス
十、心神を安定させる
湯船につかるという私たちの国の素晴らしい文化。
そして、お風呂はもっとも身近な「お祓い」だと思います。
いろんな人と一日コミュニケーションして頑張りました
お風呂につかって、いろんな邪を“水に流して”いきましょう

🍀バックナンバー🍀
薬学部の大学で学生さんにお伝えしている内容です。
よろしかったらご覧ください!
vol.1 すてちゃうあるものが神生薬
vol.2 月火水木金土日どう生きる?
vol.3 春はゆるふわ2000年前の教え
vol.4 サウナで整わない人「汗と気」
vol.5 酢豚食べる?麻婆豆腐食べる?
vol.6 葛根湯はゴリマッチョ
vol.7 水2ℓ飲む?「水毒」
vol.8 不眠の漢方朝大丈夫?
vol.9 アパレルは薬?
Vol.10 知ってる?漢方の神様
vol.11 オーガニックお野菜
vol.12 夏は自信満々
vol.13 2千年前の労働注意
vol.14 ありがとうミカン
vol.15 玄米アイディア
vol.16 現代人は頭熱足寒
vol.17 気候とココロ
vol.18 梅雨が育てるメタボ
vol.19 皮膚は内蔵の鏡
vol.20 漢方の矛盾?
vol.21 体内の火と水
vol.22 万病のもと瘀血
vol.23 2千年前の格付け
vol.24 ワンワンの呼吸
vol.25 舌ストロー呼吸法
vol.26 宇宙の神秘?陰陽太極図
vol.27 あなたは人間脳?動物脳?
vol.28 秋は焦らず
vol.29 秋は白
vol.30 重陽の節句
vol.31 短期指向?長期指向?
vol.32 重陽の日秋分
vol.33 アーシングのススメ
vol.34 知ってると出来るの差
vol.35 カラダの結露にご用心
vol.36 胃を大切にする土用
vol.37 必ず陰陽に分かれる
vol.38 レストランはじめます
vol.39 冬はひきこもって
vol.40 未知との遭遇
vol.41 体内ストーブの働き
vol.42 若さは早めに
vol.43 薬指と親指のポーズ
☘️プロフィール☘️
1968年生まれ 佐賀県伊万里市出身 くすきの杜代表. 漢方薬剤師。
Oriental Life Counselor(四柱推命/行動生態運命学/香港)
薬科大学薬学部非常勤講師
私の人生のミッションは人間の多様性に触れ世の中の陰陽バランスを探求することです。
そして毎月100名様の漢方相談の経験から東洋医学の面白さ楽しさを伝えます!
漢方薬剤師@ともや でした!
佐賀県伊万里市/暮らしと漢方のテーマパーク/くすきの杜
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